Magic Leap 2は、カメラと赤外線LEDで目の位置と向きを推定し、レンダリングの質を向上させ(システム上の仮想シーンカメラのための視界の中心を推定することで実現)、視線の向きや瞬きの状態などを用いたインタラクションを可能にします。
装着と調整
目の動きを捉えるには、アイトラッキングカメラに目をはっきりと映す必要があります。「カスタムフィット」アプリは、アイカメラで目をしっかりと捉え、ディスプレイを最もよく確認できる適切な装着状態となるようにガイドします。
アイカメラがユーザーの目をしっかりと捉えると、Magic Leap 2 はすぐに空間内の目の位置の推定を開始し、瞳孔間距離(目と目の間の距離: IPD)の測定、瞬きの認識、目の動きの種類の識別を行います。しかし、中心窩の位置は人によって異なるため、目の動きを正しく推定するためには、アイトラッカーをキャリブレーションする必要があります。このプロセスは、「カスタムフィット」アプリケーションの後半で行われます。
サポート対象の動作範囲
アイトラッキングは、目の「ニュートラルな視線」、つまり目の筋肉が弛緩しているときの目の位置、鏡で自分の目を見たときのような目の位置から約15度以内であれば、ユーザーの目の動きを最も正確に推定することができます。これはほとんどのアイトラッカーに当てはまることで、視線の角度が数学的にモデル化されていることに関係しています。極端な角度で視線を向けるのではなく、対象物を視界の中心におおよそ置くように頭を動かすことが自然です。慣れない動きではあるものの、このように行うことは可能です。15度を超えると、アイトラッキングの精度は徐々に低下します。
さらに、アイトラッキングに望ましい視線方向はないものの、下を向くと上まぶたが下がる傾向があり、アイカメラが目の位置を推定するために使用する赤外線LEDの反射を捉えられない可能性があります。そのため、下を向くことは他の方向よりも測定で難しさを伴います。
注視距離(ユーザーの目の中間点と両目の視線方向の交点から算出されるメートル単位の距離)に関する注意事項:アイトラッキングは、ユーザーの固定視点までの距離を推定することができますが、これは純粋に目の輻輳(ふくそう)に基づいています。その結果、3メートルでも10メートルでも、基本的に両目の視線方向は平行状態とみなされます。そのため3メートル未満の範囲でのみ、正確に測定可能です。
アイトラッキングとバッテリーのマネジメント
アイトラッキングは、レンダリングやインタラクションをサポートするだけでなく、デバイスを装着していないときにスタンバイモードに設定し、バッテリー寿命を改善するためにも使用されます。社内でこの機能の開発に取り組んだ結果、ユーザーは多くの場合、デバイスから空間オーディオを聴くときに目を閉じたり、ヘッドセットを頭の上に置いてから再び装着する傾向があると判断しました。このようなユースケースをサポートするため、アイトラッキングに基づくバッテリー管理に関しては、システムの他の側面(例えば、瞳孔を良好な状態で捉える必要性)よりも「寛容」に設定されています。電源状態の管理のために利用されるアイトラッキングは、実質「顔検出器」として捉えると良いでしょう。目を閉じていても、デバイスが額の上に置かれていても、デバイスの電源は入ったままとなります。しかし、アイカメラに髪の毛がかかると、デバイスは自身が髪の毛によって遮られているのか、それともバッグの中に格納されているのかを区別できず、スタンバイモードに移行してしまうことがあります。一方、デバイスを腕や脚の上に直接置いた場合、アイトラッキングは「腕の皮膚」と「額の皮膚」を区別できず、この場合はスタンバイモードに移行しないことも考えられます。
インサートレンズの対応
アイトラッキングは、コンタクトレンズを装着している場合でも機能します。頻繁に使用しているソフトコンタクトレンズは、ざらざらしたり、フィット感が悪くなることで赤外線LEDのスプリアス反射を引き起こし、測定能力低下の原因になることがあります。アイトラッキングの精度が低いと感じていて、なおかつコンタクトが古いくて使い捨てのものである場合は、新しいコンタクトを装着されることをお勧めします。コンタクトレンズを装着しておらず、メガネの上からMagic Leapヘッドセットを装着しようとする場合もあるかもしれません。この場合、メガネレンズの表面から生じる余分な反射を受け、アイトラッキングが正常に機能しなくなります(装着に少し違和感をもたらすことは言うまでもありません)。
Magic Leapでは、ヘッドセットにフィットし、アイトラッキングの操作を邪魔しないように設計されたインサートレンズを提供しています。詳しくは「インサートレンズ」をご覧ください。
プライバシー
アイトラッキングデータは、デバイス上でローカルにのみ処理されます。詳細については、当社の透明性ポリシーをご覧ください。https://www.magicleap.com/eye-tracking